高次脳機能障害

交通事故に遭うと身体に激しい衝撃が加わりますが、場合によっては大きく頭を打ちつけることもあります。

 

頭を打ち付けた際の衝撃は目に見える外傷となるだけでなく、脳に影響を及ぼすこともあります。

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交通事故に遭遇した前と事故後とで少し様子が変わったなと感じられるくらいに記憶力や集中力が低下してしまった、仕事の要領が極端に悪くなってしまった、感情の起伏が激しく感情のコントロールが上手く出来ていない、というような症状が発生しているのであれば、高次脳機能障害を負われている可能性があります。

 

高次脳機能障害、遷延性意識障害を負われた方へ

 頭部脳外傷を負った場合、遷延性意識障害、高次脳機能障害といった重篤な後遺障害が残る場合があります。

遷延性意識障害とは?

 遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)とはいわゆる植物状態のことです。
 事故で一命は取り留めても、
 ・自力で移動ができない
 ・自力で食事が取れない
 ・便、尿を失禁してしまう
 ・目でかろうじて物を追うことができても、それを認識することはできない
 ・簡単な命令にはかろうじて反応するが、自発的な行動ができない
 ・意味のある発言ができない
という状態が3ヶ月以上続いた場合遷延性意識障害と認定されます。
 
遷延性意識障害に該当する場合常に介護を要する状態として、後遺障害等級1級に該当することが多くなります。
このような重大な後遺障害が残った場合、将来の介護費用の問題や仕事ができなくなったことの補償(逸失利益)の問題、介護のために自宅を改造した場合の費用負担の問題など、多くの問題を解決しなければなりません。

 

特に、将来の介護費用の金額は、被害者の請求額と加害者側保険会社が認める金額に差があることが多く、裁判で決着を付けることとなるケースも多いというのが実際です。
将来の介護費用は、被害者のみならず家族の金銭負担にも関わりうる問題でもあり、非常に切実な問題です。
将来の介護費用については弁護士の訴訟活動の方法次第で獲得できる賠償額に大きな差が生じますので、専門の弁護士に依頼されることが非常に重要となります。 
 

高次脳機能障害とは?

高次脳機能とは、認知能力(記憶力・集中力・判断力など)性格・人格(情動)を司る脳の機能のことをいいます。
そして一般に事故による脳外傷で高次脳機能に障害を残した方には、次のような傾向が見られるといわれています。

 

・新しいことを覚えられなくなった
・気が散りやすくなった
・行動を計画して実行することができなくなった
・複数のことを同時に処理できなくなった
・話が回りくどく要点を相手に伝えることができなくなった
・ちょっとしたことで感情が変わるようになった
・過剰な動作をしたり、大声を出すなど、自己抑制が効かなくなった
・職場や社会のマナーやルールを守れなくなった
・怒りっぽくなった
・同時に二つ以上のことができなくなった
 
といった症状に現れることがあります。
      
 事故後このような症状が残る場合、社会生活への適応力が低下することになり職場や学校などの社会生活や人間関係に支障が生じるおそれがあります。
 
しかしこの高次脳機能障害は、見過ごされやすい障害と言われています。
その理由としては、上記のような症状が残ったことについて被害者本人に自覚症状がないこと、被害者の家族も、意識が回復するにすれて他の症状もいずれ回復するだろうと考えがちであること、脳の他にも重度の外傷を負った場合に、その合併部位の治療のため、医師であっても高次脳機能障害の有無に対する注意がおろそかになる場合があること、などが挙げられます。
 
被害者本人に自覚症状がない障害であるからこそ、高次脳機能障害を見過ごさないために、ご家族の方の協力やサポートが非常に重要です。
 

高次脳機能障害の認定要件

頭部外傷により高次脳機能障害を負ったと認められるためには次の要件を満たすことが必要となります。
 
 ① 脳挫傷、びまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫等の脳損傷に関する病名がついていること
 ② ①の脳損傷がCTやMRI画像で確認できること
 ③ 事故直後から一定程度の意識障害があること    

②CTやMRI等の画像所見について

脳挫傷等の局在性脳損傷と異なり、びまん性軸索損傷の場合には、受傷直後の画像だけではなく、その後の経過的な画像所見が決定的に重要となります。
つまり、事故直後のCTでは脳室内出血等が明らかとならず正常にみえることがあり、その後、脳室拡大等により脳の萎縮が目立つようになり、3ヶ月程度経てば、外傷後の脳室拡大や脳萎縮等の固定(脳が痩せて固定する)が明確になるということであり、事故直後の画像だけでは異常が見つからない可能性があるということです。
このように、高次脳機能障害の認定を受けるためには画像撮影が必須であり、また事故直後の画像に問題がない場合でも、経時的に画像を撮影することが必要となることがあります。
事故後の経時的な画像所見がなく治療を終えて症状固定した後に画像を撮影しても、交通事故による脳の損傷かどうか因果関係が不明とされてしまう可能性が高いといえます。
特に事故直後は画像所見が明確でない場合でも、後に画像所見が現れることがありますので、注意が必要です。
 

③意識障害について

意識障害は、脳に機能的な障害が生じていることを示す1つの指標となります。意識障害の程度が重く、継続している時間が長いほど(特に脳外傷直後の意識障害がおよそ6時間以上継続する症例では)高次脳機能障害が生じる可能性が高いと言われています。

 

自賠責保険の高次脳機能の認定に当たっては診療医に、「頭部外傷後の意識障害についての所見」という書面に被害者の事故後の意識障害の内容・程度を記入していただくことになります。
この意識障害の程度も非常に重要な認定要素ですので、医師に正確に記入頂く必要があります。
記入された内容に疑問がある場合などには、救急搬送時のカルテや病院のカルテ等の内容を確認すし、記載内容の正確性を確認することが必要となることもあります。
 

高次脳機能障害の後遺障害等級の認定基準

後遺障害の等級は、残った症状の重さによって、1級から9級までと幅があります。
高次脳機能障害の認定基準は以下の通りです。

 

後遺障害の等級が1つ違うだけでも、最終的に獲得できる賠償金額は大きく異なってきますので、適正な後遺障害を等級することは非常に重要です。
また、1級、2級が認定された場合はもとより、3級が認定された場合でも、介護が必要となるケースもあります。将来介護が必要となる場合、介護費用をいくらと認定するかなどで、加害者側保険会社と主張が食い違うことが多く、裁判での解決が必要となる場合が多くなります。
高次脳機能障害の被害者が適正な後遺障害等級を獲得するためには、他の後遺障害に比べ、より専門的な知識を要することになるといっても過言ではありません。

 

第1級(要介護)

身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、 生活維持に必要な身の回り動作に全面的介助を要するもの
 

第2級(要介護)

 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって1人で外出することができず、日常の生活範囲な自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
 

第3級

自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
 

第5級

単純くり返し作業などに限定すれば一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には職場の理解と援助を欠かすことができないもの
 

第7級

一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
 

第9級

一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの
 

高次脳機能障害の後遺障害等級認定申請

高次脳機能障害が残存すると認定された場合、その等級がどの程度かを判定するにあたって、①「神経系統の障害に関する医学的意見書」及び②「日常生活報告書」といった何種類かの書類を提出することが必要となります。

①「神経系統の障害に関する医学的意見書」は、医師に記載していただくことになります。

この意見書に記載していただく内容は、食事や排尿、排便、入浴、更衣、階段昇降などの身の周りの生活動作が自立しているか、介助や見守り、声かけの必要性・頻度、認知や情緒、行動の障害(例えば以前に覚えていたことを思い出せない、話がまわりくどく、考えを相手に伝えられない等)といったものになります。

しかし、注意しなければならないのは、被害者と日々の生活を共にしていない医師は、被害者の症状の全てを見ていないため、被害者の症状を正確に把握することが容易ではないということです。
つまり、高次脳機能障害は社会的な行動や人格障害の問題ですので、医師の前で診察を受けているだけでは、被害者の異常、例えば、「さっき言ったことをもう忘れている」とか、「気分が変わりやすい」などはなかなか見えてこず、医師ですら、障害の内容を正確に把握できないのです。

したがって、家族の方には、医師と十分にコミュニケーションを取っていただき、被害者の家庭や職場、学校での様子を伝え、意見書に正確に反映してもらうことが必要となります。
また、事故後の異常をできるだけ客観的にデータ化するために、神経心理学検査を受けたいと医師に依頼することが必要となる場合もあります。
 

②日常生活報告書

高次脳機能障害は、認知や人格の障害の問題であり、医師であっても被害者の方の事故後の異常に気付くことが難しい面があることから、高次脳機能障害の認定手続きにおいては、被害者の一番身近にいるご家族の方の意見も尊重されます。
ご家族の方には、「日常生活状況報告書」という書面を記載いただくことになりますが、この報告書はかなり細かく記載内容が指定されており、実際に記入する際には、どのように記入すれば被害者の現状を正確に伝えることができるかを悩まれるご家族の方が多くいらっしゃいます。
そのような場合、当事務所では、被害者の症状を詳しくお聞きした上、記載の方法についてアドバイスをさせていただいております。
また、日常生活状況報告書で指定された事項だけでは被害者の症状を伝えきれないという場合、当事務所の弁護士は、被害者の症状の詳細を記載した別紙を作成し、これを報告書とともに提出するようにし、適正な認定が得られるよう努めております。

③まとめ

このように、認知や人格の障害であるという高次脳機能障害の特性上、医師だけでなく、ご家族も積極的に適正な賠償額の獲得のために行動することが求められることになります。

とはいえ、ご家族の方で高次脳機能障害について専門的な知識を持たれている方は少ないでしょうし、被害者の治療や介護等のために多くの時間を割かなければなりません。

そこで、ご家族の方には、事故直後より、高次脳機能障害に精通した弁護士アドバイスを受けながら、弁護士とともに被害者のために行動されることをお勧めします。そうすることで、被害者が適正な賠償額を獲得することにもつながりますし、ご家族の方の負担を軽減することも可能になります。
 

ご相談は高次脳機能障害に精通した弁護士に

高次脳機能障害で適切な後遺障害認定を受けるためには、事故直後の画像所見、経時的な画像所見、意識障害の有無・程度、認知機能を評価するための神経心理学的検査、家族が作成する被害者の日常生活報告書などの資料により、被害者の実情を結果に反映していく必要があります。

また、高次脳機能障害は、自賠責保険の認定システムもこれまで何度か変更や見直しが加えられてきており、最先端の知識が必要となる、極めて専門的な分野であり、提出する資料の集め方や記入の方法にもポイントがあります。 

このように、高次脳機能障害は極めて専門性の強い分野であり、弁護士であれば誰でもアドバイスができる分野とはいえないのが実際です。

この点、当事務所の代表弁護士は、交通事故に特化して多数の案件を取り扱っており、高次脳機能障害の案件も常に複数対応させていただいておりますので、上記のような資料の収集の方法や記載の方法のポイントなど、事故直後から適切なアドバイスをさせていただくことが可能です。
事故で頭部外傷を負われた被害者やご家族の方は、当事務所に是非ご相談下さい。

 

 

 

 

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