むちうちで後遺障害の認定、適正な賠償を受けるポイント
むちうちは治療により完治する方も多いですが、中には痛みやしびれが残存してしまう方もいらっしゃいます。
そのような場合、神経症状が残存したとして14級9号の後遺障害が認定される可能性があります(神経症状が残った場合、分類上は12級13号という可能性もありますが、現在では、受傷内容がむちうちの場合に12級13号の認定を受けることは極めて難しいです。)。
そこで、以下において、むちうちの治療を受ける場合の注意点をご説明致します。
1 むちうちで後遺障害の認定や治療費の支払いが認められない可能性が高くなる場合
事故による車両の損傷が軽微で修理費も低く軽微な事故と扱われてしまう場合や、整形外科を受診せず整骨院にのみ通院している場合などは、後遺障害が認定されないばかりか、治療費すら支払ってもらいない可能性もあります。
- 受傷状況
むちうちが発生するような受傷状況であったのか、またその受傷の衝撃はどの程度であったのかが重要となり、これらは車両の損傷状況や修理費の金額も踏まえて判断されることになります。
すなわち、衝突した際の車のスピード、追突なのか逆突なのか、正面衝突なのかなど、受傷状況、車の損傷状況、車両修理額から、むちうちの症状が発生する事故であったのか、またどの程度深刻な症状を引き起こしうる事故であったのかがポイントとなります。
なお、クリープ現象による追突やミラー同士の接触など、一般的に軽微事故と捉えられる場合や車の修理費が著しく低い場合には、保険会社が事故と怪我との因果関係を否定し、「事故では怪我をしていない」という主張をしてくる可能性があります。これを「受傷否認」といいます。この場合、保険会社から治療費の支払すら受けることができません。
この場合、弁護士が介入しても賠償額の増額を実現できないおそれがありますので、注意が必要です
- 治療状況
救急搬送されたのか、事故直後から通院しているか、どの程度の頻度で何日通院しているのか、整形外科に通院しているのか、整骨院に通院しているのかなどの治療状況により、後遺障害の認定を受けられる可能性に違いが生じます。また、むちうちで後遺障害の認定を受けるためには、一定期間、一定の回数の通院を継続することが必要となります。
なお、先に述べたように、整形外科に通わず整骨院のみに通院していた場合では、整骨院の施術費用すら支払ってもらえないケースもありますので注意が必要です。
また、そもそも受傷内容がむちうちの場合、保険会社は軽傷と捉えているケースが多く、2~3ヶ月(受傷状況や車両損傷状況によっては1ヶ月未満)で治療費の支払いの打ち切りの打診がなされることも例外ではありません。
2 むちうちでの後遺障害認定を受けるポイント
むちうちの場合、後遺障害認定を受けるポイントは、前述した①「受傷状況」と②「治療状況」の他に、③「症状の推移」④「症状の回復困難性」があります。
- 症状の推移
事故直後から症状固定に至るまで一貫して、痛みやしびれなどの具体的な症状が出ているか否か、またそれが診断書に記載されているかが重要です。
そして、痛みやしびれが出ているだけでなく、この自覚症状が受傷箇所に整合するものであるかどうかもポイントとなります。
したがって、主治医にカルテや診断書上のそのような記載をしてもらうことが重要となります。
もっとも、被害者の方がカルテ・診断書を見ても、自覚症状が受傷箇所に整合しているのかよく分からないケースも多いですので、診断書やカルテを読み慣れている弁護士に相談するのが有益でしょう。
- 症状の回復困難性
むちうちは、レントゲンやMRIなどで客観的所見が表れにくいため、後遺障害の認定を受けることが難しくなっています。
しかし、専門的になりますが、深部腱反射テスト、筋萎縮の測定などの客観性の高いテストを受け、所見が出ている場合には後遺障害の等級認定につながることもありえます。
3 まとめ
以上のようなポイントを総合的に考慮し、後遺障害が等級に該当するかどうかの判断がなされます。
当事務所では、むちうち事例について多数の経験があり、それらの比較する中で、後遺障害等級認定に向けての治療方針、認定の可能性について、個々の依頼者様に応じてアドバイスしています。
なお、後遺障害等級認定の申請は誰でも行えますが、認定結果が出るまでには、症状固定時から3ヵ月程度かかる場合もあるため、認定が下りる可能性が低い事案について後遺障害申請をしてもむやみに解決が遅れるだけであるといえ、弁護士においても正確な見通しを立てられる経験が必要です。
当事務所では、多数の経験の中から認定が下りる可能性、ご本人の意向を確認した上、後遺障害等級認定申請すべきか否かについてのアドバイスを行っておりますので、お悩みの方は是非お問合せ下さい。